上野で

晴れた日曜日。上野で、東京都の高校生が一同に集まって、吹奏楽・管弦楽・合唱などの演奏会。次女が吹奏楽で参加するので、長女と鑑賞。上野の東京文化会館は、世界バレエフェスティバルや、ベジャールバレエ団、ロイヤルバレエ団などなど、バレエ好きにとっても昔からおなじみの舞台。ここの舞台に立てるなんていいな〜。昨年に参加したときに「楽屋や舞台袖の壁に、いろんな人のサインがあったよ!」と聞いていたので、今年は「写真撮ってきてよー」と頼んで、楽屋の写真を撮ってきてもらう。ジル・ロマンのサインとかあるかなー?と見てみたけど、サインだらけで、埋もれててわからなかった。演奏は良かったなぁ。ブラボー!とか言われてたし、会館周辺は高校生がワンサカで、出店も出てたりして、お祭りみたいだった。帰りがけ、上野の森を散歩しながら、上野東照宮へ寄ってみる。立派な燈籠の間を抜けて歩いていたら、おおっ?なんかへん!後ろが書き割り?なんと後ろの本殿が、修復中のシートに印刷された、ビックなプリントでありました!遠くからは全然わからなかった!だまし絵みたいで、おもしろい。

ベジャール、そしてバレエはつづく

先日、Bunkamuraル・シネマにて、映画「ベジャール、そしてバレエはつづく」を見てきた。小さい劇場で映画を観るのはけっこう久しぶりだ。ベジャール亡き後のバレエ団を率いる、ジル・ロマンが新作バレエを振り付けるというドキュメンタリーで、舞台に携わる人たちのインタビューやレッスン風景、舞台裏などが見れて、緊張感のある美しさだった。見終わったあと、何かこう、考えさせられるものがあった。作りあげるというのには、そのものに対する信頼と真剣さが大事なんだな、、、という思いにかられてしまう。ベジャールの残したものと、ジル・ロマンの真剣さと、静かな情熱はすごい。ダンサーの踊りにも、哲学を感じた。この新作が日本にやって来たら、ぜひとも観たいと思った。それにしても、ジル・ロマンの踊るアダージェットは、何度見ても感動ものだな。。。

作品エピソード

2005年のテンペラ作品「おみやげ」(個人蔵)

ある日、娘が遠足で潮干狩りに行って、びっくりするほどたくさんのあさりを持って帰ってきました。潮抜きしようとボウルに入れた、そのあさり達は、どれもきれいで、ひとつとして同じ柄のあさりはいないことに、あらためて気が付きました。バター焼きやボンゴレにして、おいしくたっぷり食べた後、捨てるのが惜しくて、貝殻をきれいに洗って、いくつかを選んでビンに入れてとっておいたものを、描いたのです。

この作品はアートコレクターの山本冬彦さんが企画されていた「アートの見方・買い方」講座の画廊めぐりツアーで、個展会場に来てくださった参加者の方が「絵を買うのは初めて」とおっしゃって、買ってくださったものです。その時は展示してある絵の説明を求められ、これはどんなあさりなのかをお話しました。あとで「あの時作品を買ったのは、娘さんのおみやげだというエピソードを聞いたからです」というお手紙を頂きました。あれから5年が経ちますが、その方は今はもうたくさんの作品を持つコレクターさんになられたようです。描き手としては、そういう事柄に関われたことを、嬉しくありがたく思っています。

作品には描いたときのエピソードがはっきりしているものと、そうでないものがありますが、いま手元にないものは、描いた時とはまた別の、新たなエピソードがその人のところで生まれているようで、そんな話を聞くと嬉しくなります。

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