旅を終えて

今回の旅は、観光はそこそこに、人と触れ合う旅となった。細かいスケジュールは、あえて無計画にしておいて、それでもただ流されるんじゃなくて、心して、流れに身を任せようと思っていた。そうしたら何かに守られているような、導かれているような そんな感覚を、掴むことができたし、その感覚に素直に従ってみることの大事さを学んだ。自分のコントロールよりも、明らかに大きく働いている力がある。
そびえ立つ教会や、カタルーニャ美術館で、人間が表現した神様たちを、いっぱい見た時に、こんなに神様だらけということは、同時に”救い”だらけ ということだな・・・。
悲しみや、辛いことがあっても、それと同じだけの”救い”があるんだな、とも思った。

やり直したいと思っていたことも全部できた。
今までなんだかしっくりこなかったことに、決着がついたような。。。
情報だけでは知りえない体験の多様さ。。。そして何を信じるかの選択。
バルセロナは優しかった。縁あって4度、同じ街に来ていても、今までとは違うものを見たんだと思う。短い時間の中の、ささいな出来事も、以前の体験とまるでセットになって、私にとっては大きな意味を持つことになった。自分に与えられた問いの答えを見つけるのに、2年もかかっちゃったけど、それなりに判ったことがある。

不思議といろいろすんなりいき、私は見えるものと見えないものの、すべてに対して感謝せずにはいられなかった。周囲の協力と理解のもと、一人になって、考え、感じ、体験したことのすべて。時が過ぎるほど、心に深く刻まれて、たちまち思い出になってゆくすべて。
ひとつの迷いが去り、確実になったものがある。信じていいんだ。それを。
おかげで私は満タンになったみたい。だからまた、ここからスタートしていこうと思う。

グラシアス、メルシー、サンキュー、そして、ありがとう。。。

バルセロナ旅行記5  シッチェス そして帰国

4月5日
朝食カフェのおばちゃんは今日も元気。グラシアス、と言ってお店を出ようとしたら、アディオス、ボニータ!って大きな声で言うからアディオース!とテンションあげて最後のあいさつ。その後宿に戻ってチェックアウト。オーナーのご主人は昔お世話になった会社の人に似ているのだった。飛行機は夜の8時半なので、宿で荷物を預かってもらって、シッチェスに行くことにした。
メトロからセルカニアスという鉄道に乗り換えて、海沿いのリゾート地、シッチェスへ。ここはゲイと芸術の街。距離でいえば東京から湘南に行くような感じ。ここに別荘を持つのがステイタスとも言われているところだ。駅を降りると潮の香りが。シッチェスは、2年前にバルセロナの画廊めぐりをしていて、そこのお姉さんと話している時に、シッチェスにうちの画廊の本拠地があって、アートフェアをやっているから、見に行ったら?と言われたことがあって、興味を持ったのだった。青い地中海の海岸に白い街並み。子供の頃から夢みていたような風景だ。なんだか現実じゃないみたいで、ぼーっとしてしまう。海辺の教会では結婚式が行われていて、鐘が鳴っている。浜辺ではモトクロスの大会をやっていて、すごいエンジンの音とアナウンスとで賑やかで、浜辺でのんびり、というわけにはいかなかった。画廊を何件か見て歩いてみた。あの時のバルセロナの画廊もあった。ルシニョール美術館と、カフェラット美術館を観る。上の写真はカフェラット美術館内部。マリセル美術館に入ろうとしたら、もうすぐシエスタで閉まっちゃうからゆっくり観たいなら、また後で来たほうがいいと言うのでやめて、海を見ながら教会の脇の石のベンチに座って休む。隣ではギターを弾いている人がいて、ちょうどいいBGMだ。お金を入れるところはあるのかな?と見てみたけど、何も置いてない。練習してるみたいだ。歌もギターも練習っぽいがけっこう心地いいので、しばらく座ってギターを聴きながら海を眺める。父は海が大好きだった。お父さん、地中海に来たよ。
日本の海とも南国の海とも違う、軽くて深くて遠い青色だ。海はキラキラと光り、太陽も夏のように照りだした。しばらくしてギターの人は片付けて帰っていった。振り向きざまに私を見たので、お互いほぼ同時に手を振る。ありがとね。
美術館が開くのを待っていたら、飛行機に間に合わなくなるので、それはあきらめて駅へ向かう。お店も昼休みのところが多い。窓口でパセチデグラシアまで、と言って切符を買おうとしたら、「フリー」とタダチケットみたいのをくれた。何でタダなんだろう?20分くらい待って電車が来た。海沿いを走る。帰りの方が時間がかかった。のんびりなので、みんな眠そう。私も眠い。ダメダメ眠っちゃダメ とガムを噛みながらがんばる。40分くらいかかって地下鉄との連絡駅に着いた。そこから地下鉄に乗ってHOSTALに預かってもらっている荷物を取りに帰る。この宿は駅の出口を出たらすぐなので、とっても便利なのだった。HOSTAL HILLのフロントもお昼休み。カギをボックスに返して荷物を持って帰り支度。短い間だったけど安心できて、快適な滞在ができた。精神的に安心できるというのが一人旅の私にはメリットだったみたい。ここならみんなも連れてこられそう。宿にさよならして、アンティークなエレベーターもちょっと名残惜しみながら、通りへ出て、タクシーで空港へ。
エールフランスのカウンターではいちいち、マダーム?と言われるので、慣れない私にはちょっとくすぐったい感じ。早めにチャックインを済ませて、免税店などを見て回る。8時を過ぎてもまだ明るくて1日が長い。シエスタが必要なのもわかるなぁ。バルセロナ空港は、まっすぐな造りでサインもわかりやすいのです。飛行機はパリまで順調に飛び、乗り換えもスムーズ。シャルルドゴール空港には何か縁のようなものを感じてしまうよ。パリから成田までは30分も早く着いた。全部がうまくいったみたいだ。初めから終わりまで、後悔や気になることは何もない。この年になってもまだまだ学べることが沢山あるものだ。協力してくれた夫に感謝。家族に感謝。なんとも言いがたい満足感にひたりながら、バスに乗って家路に着いた。みんなほんとにありがとう。。。

バルセロナ旅行記4

4月4日
今日も11時に画廊に行くことになっていた。時間があるので通りを1ブロック遠回りしてカサ・ビセンスを通る。これもガウディの建築。直線のデザインもきれいです。前回来た時にKさんと行った画材やさんに行って、日本ではちょっと見たことのないパッケージのスケッチブックとキャンバスペーパーを買う。この辺からはディビダボ山が近くに見える。画廊にはすでにアナも来ていた。さて、オフィスでルーカスと三人で次の契約について話す。カテドラルの美術館はとても良かったけど、新たな契約はできないと結果的にはお断りした。ルーカスは「今回はダメでも、今後やってもいいと思った時はいつでも電話してくれ」と言う。そして、「あなたの絵を僕の家に1つ欲しい」と言って、オフィスを出て絵の前に行き、「これがいい!部屋は絵でいっぱいだから小さいのがいいんだ。」といって小さい作品を選び、壁からはずした。オフィスにもどってペンを出し、「ハイ、サインして!」と言う。キャンバスの裏に、ルーカスへユウコより・・・アナが耳元でコンカリーニョ(愛をこめて)というので、そう書いた。予想外の展開。アナは自分の作品のポスターに私へのメッセージを書いて、くれた。私は何かをやり遂げたような気持ちになって、マリア、アナ、ルーカスに別れのあいさつをして、画廊を出る。伝えたいことは伝わったようだ。何とかしようと思えば、何とかなるものだ。この画廊は悪評もあったりする。たしかに作品の扱いはいいかげんというか煩雑で、許せない人には許せないだろう。お金を儲けるのが目的なら、あんなポンコツ車には乗っていないだろう。この画廊の経営もなかなか大変だけれど、30年も続いているから、なんとかして存続させたいんだと言うようなことを言っていた。なんかそんな感じはよくわかりました。私は満足です、と言ったらルーカスも、グラシアスと言って、少し嬉しそうな感じだった。
明日はもう日本に帰る日なので、ちょっと買い物しようと思い、歩いていたら、導かれるように、再びカテドラルに来てしまった。しばし座って眺めながら心の中でいろいろ言う。その後また同じ切手屋さん(上の写真)に出てしまう。古い切手をまた買った。カードやノートの専門店もあった。ディスプレイも店内もアンティークで素敵だったので、お店の人に断って、写真を撮らせてもらう。今日は最後の夜なので、HOSTALが主催するシーフード料理つきサグラダファミリア夜景ツアーに参加。HOSTALのご夫妻と宿泊のお客さんとで、たっぷりシーフードを食べて、シャンパンと白ワインを楽しむ。オーナーやみなさんと話ができて楽しかった。また、どこにいるのかわからなくなる。同じところを選んで、遠くから来ている皆さんだという共通項があるだけで、初対面でもなんだかほっとするものだ。大阪から来た女の子も一人旅だったので、隣でいろいろお話。カサミラの屋上から南に海、北に山が見えたよ。なんて言っちゃったけど、後で思い出したら海が見えるのはグエル公園です。記憶が混ざってつい間違ったこと言っちゃっいました!夕食後レストランを出てちょっと歩くと、サグラダファミリアが、ばーん。夜景もまた神秘的な趣があって、素晴らしい。昔は完成までにあと100年とか言われていたけど、最近は観光客のおかげで資金が集まり、もう少し早く完成するのではないかと言われているそうだ。でも観光客を入れないで工事ができればもっと早くできるのに、というジレンマもあるらしい。ご一緒したみなさんと記念撮影!

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