瓜南直子さんありがとう。

画家、瓜南直子さんが亡くなってしまった。
入院生活を明るく語っていたから、病気はきっと治るのだろう。必ず元気になるはずだ!なんて、わたしは勝手に思っていた。だから訃報を聞いたとき、しばらく信じられなくて、なにかの間違いであって欲しいと思っていた。だけど今日(6月7日)鎌倉へ行って、告別式に参列して、お顔を花でいっぱいに囲んで、お見送りしてようやく、ああ、、本当なんだとわかってしまった。

つい先月も鎌倉へ行ったのだ。「瓜南直子展- 月の消息 -」を観るために。カナンさんの作品は、これまでも何度か観る機会があった。独特の絵肌、深い色、濃密な空気。実物の作品を観るたびに、緊張感と穏やかさが共存する画面の、奥深くに引き込まれていってしまう。魅了されつつ、背筋がのびる感じがするのだった。

去年の一月、銀座森田画廊で、カナンさんの個展でお会いした時に、いただいた団扇。鎌倉市観光協会のためにつくられたもの。アトリエにずっと飾ってあります。

カナンさんとの出会いはTwitterでのおしゃべりがきっかけだった。アート議論に対する、わたしのこっぱずかしい心の叫びに、親身になって応えてくれたのが最初。それから時々やりとりをさせてもらうようになって、わたしの個展DMの絵に「自分のカタチを持っている人です。これからが楽しみ」と言ってくれた時にはすごく嬉しかった。

たわいない呟きの最中、京都でまた個展をやると言ったら、わたしより先に告知をしてくれた。京都には知り合いがたくさんいるからと言って、DMを置いてくれるお店を教えてくれた。どれほど心強かったことか。京都に滞在中も、身に余るほどの示唆を与えてくれた。不思議なくらい親身になってくれた。おかげで、幸せな京都だった。その時のブログ→平凡ファンタジイ京都編 

カナンさんが挿絵をかいた本「ぼっこ」わたしが入院していたときはこれを読んでいました。あたたかい絵とお話。あのとき伝えたように、そろそろ甥っ子に読ませたい。
そして「寝目物語」文章も巧みなカナンさんの深い絵と文が綴られた本。ご自身が描いた夢の世界に、カナンさんは今本当にいるのかもしれない。

日々悶々とするわたしに、度々すっきりした言葉で、さっぱりときっぱりとアドバイスをくれたこと、豆の煮方や、ゆで玉子のぬか漬けを教えてくれたこと、お湯割りはお湯が先ウイスキーは後、などなど、そして、あふれる知識とユーモアで、会話を楽しませてくれたこと、本当にありがとうございました。

わたしが関わることができたのは、カナンさんの人生の終わりのほうのたった2年という、短い時間だったけど、出会えて本当によかった。わたしのような若輩者にも、隔たりなく接してくれた、おおきくて聡明なひと。わたしの中の何かを、確実に変えたひと。頂いた数々の言葉は宝物にしてゆきます。
去年の1月。森田画廊でのカナンさん。

「ゆーこちゃん。お互い、自分が惚れるような作品を作ってゆきたいですね。描こうっ!! 作品の最初で最後のファンは自分だし。」

端末もWi-Fi も電車もいらない世界へ行ってしまったカナンさん。これからは、空を見あげたらいつでも話せますか?みんなの人気者だから、天国へ行っても、まだまだ忙しいのでしょうね。

ずっーとずっと、大好きです。おねさま。

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