ヘンリー・ダーガー展

原宿の工房の帰りに、ラフォーレミュージアムに寄って、ヘンリー・ダーガー展を観てきました。何年か前に一点だけ、銀座で観たことがあって、不思議な絵だなーと印象に残っていたのだった。その時は、どういう人なのかよくわからず、作品だけを観たのだけど、今回のはダーガーという人の、生い立ちから、部屋の様子から、遺品まで見れる展示だった。箱いっぱいの短い鉛筆や、ものすごい厚みのスクラップブックなど、遺品の展示コーナで、背筋が、ぞわぞわーっとした。あの感じは何だったのだろう。きっと、誰にも知られていなかった彼の作品を、世に出そうとした人も、遺品を見て、ただならぬものを感じたに違いない。「非現実の王国」の世界で、不条理と病んだ社会に、苦しめられたり、勝利したりする純真の姿。作品は痛いものも多かったけど、目をそむけたくなるような痛さではなかった。妄想を書き出すことで、自己を救っていたのだろう。誰にも見せることなく、ただひたすら描かれた、ひとりの人間の存在の証。今になって、こうやって多くの人に見られているということに、あの世のダーガーさんは、どう思っているのでしょうか。

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