作品の人生

私の手を離れて、お嫁に行った作品が、私の知らないところで、何かしらの役割を担っているかような話を聞いて、不思議な感覚になった。人手に渡ることを前提にして描いているのでもなく、出来上がったあとで、その作品がどうなっていくのかというのは、私の知る由もなく、だいたい、何か計算して描いてしまったら、つまらないものができてしまうのでそのときそのときに、正直にやっていくことだけを、心がけているつもりなのだ。そうやって生まれた作品が、観る人によって、違うものに生まれ変わっていく。。。それはまさに観る人のチカラであって、私の何かではない。その日によって、作品が違う表情を持つのだそうだ。それはまるで、その人がどういう状態なのかを、映し出しているかのようでもある。そんなふうに、作品が生かされていることを、私はとても嬉しく思う。

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