下塗りだけで

まとまった時間があっても、気分が今ひとつだったり、気分が上々でも時間がなかったりで、せっかくのアトリエになかなかこもれないでいた。机に向かっても落書きばかりで、どうもぴしっとしない感じが続いていたけど、今日はようやくキャンバスに向かう。小さいキャンバスに何枚かまとめて下塗りをしていたらなんかほっとするような、落ち着くような満足感がやってきて、これってアドレナリン?ドーパミン?痒いところに薬をぬって落ち着くような、乾いたお肌に乳液つけて潤うような、自分が目の粗いカサカサのキャンバスだったみたいで、新鮮な感覚を久々に味わう。ジェッソの下塗りしただけで、まだ画面は真っ白なんだけど。。。

作品の役割

先日、私の作品を買ってくれた人が、今まで居心地の悪かった場所にその絵を飾ったら場所の空気が変わって居心地が良くなったんだそう・・・というような話を聞いた。それと似たような話を以前、別の人からもされた事があり、その時も自分の手を離れた作品が、何かしらの役割を担っているなんて、思いがけないことだなぁと感じたのだった。制作をする時はひとつひとつ思い入れがあり、その時その時の精一杯であって、完成させた時にいったんそれに区切りはついても作品自体、完結には至っていないのだろう。済んでしまったモノではなく、作品はその後、生き始めて、観る人に育てられて完成されていくものなんだなぁと思う。やはり観る人のチカラが作品をそのような存在にさせてくれているのだ。少しでも誰かに喜ばれているならば、描いててよかったと思えて、私も嬉しい。

アトリエ

個展を終えてすぐ、空き待ちをしていた部屋が空き、同じ建物内で引越しをした。長く住んだ部屋には根っこが生えていたみたいで、運んでも運んでも、まだまだ荷物が出てきて、もう大変!空っぽにするのに予想以上に時間がかかってしまった。昔の作品はサイズが大きく、塗りも厚くて重い。動かすのもなんだかうんざりしてしまうので、作品を木枠から、ぜーんぶはずしてクルクル巻いて、押入れに入るようにした。ビスがさびているような大きな木枠はぜーんぶ破壊して、さようなら。その一連の作業で、なにかがひと区切りついたような感じがした。今まで部屋の隅っこを占領して描いていた絵も、今度はアトリエと名づけられた部屋で描くことができる。生活スペースが、ようやく片付いてきたので、今度はこの小さなアトリエで、心機一転できるかな・・・。

error: Content is protected !!